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原発被害でマイナスからのスタート - 福島医大学長・菊地臣一氏に聞く◆Vol.1

スペシャル企画 2011年8月10日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

「福島県と、岩手県、宮城県は根本的に事情が違う」。福島県立医科大学学長の菊地臣一氏は、こう指摘する。同医大は、地震と津波に加えて、福島第一原発事故に伴う放射線による健康影響問題を抱える福島県の医療の拠点。「福島の場合は、マイナスからの復興。いまだそのマイナス分がどのくらい深いのかは不明」(菊地氏)だが、「悲劇から奇跡へ」の転換を目指す菊地氏は、「福島医大復興ビジョン」に将来を託す。放射線医学に関する一大拠点を創設し、福島県民の長期的健康管理のほか、国内外の研究者や臨床医を集め、臨床、研究・開発に取り組む計画を描く。 菊地氏に、今回の震災・原発事故の教訓と将来構想をお聞きした(2011年7月28日にインタビュー)。 ――東日本大震災および福島第一原発事故から約4カ月半。この間、浮び上がった教訓は何でしょうか。 菊地臣一氏は、「福島県立医大に新たな歴史的使命ができたと考えている」と語る。 私はこの6月、本学の5年、6年生を対象に現状と今後について講演し、我々は今回の震災から何を感じ、何を学んだかを話しました。 非常に多くのことがありますが、一つには、私自身も含め、我が国は有事、つまり破滅的...