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生活保護受給者の薬が危うい

オピニオン 2014年1月9日 (木)  嶋田丞(日本臨床内科医会副会長)

はじめに 平成25年12月、生活保護法改正案が成立した。生活保護費の受給者数は毎年増加傾向が続いており、生活保護費も今年度は3.7兆円にも達する見通しである。すでに昨年の8月から生活保護費の段階的な引き下げが始まり、10月からは後発医薬品の使用促進が前倒しで実施されている。 この法律は、生活保護費の増加に歯止めをかけることを目的のひとつとしている。しかし、一方で、生活保護受結者や医療機関にとって、不合理に思える部分も多い。 本オピニオンでは、特に生活保護の医療扶助に着目し、後発医薬品の問題も含めて検討し、論じてみたい。 1.生活保護制度の概要 生活保護制度とは、資産、能力等すべてを活用してもなお生活が困窮するものに対し、困窮の程度に応じた保護を行い、最低限度の生活の保障と生活の自立を促進することを目的とする。 対応する扶助には、食費や光熱費などの「生活扶助」、アパートの家賃などの「住宅扶助」、医療や介護サービスの「医療扶助」や「介護扶助」、その他にも、「教育扶助」、「出産扶助」、「生業扶助」、「葬祭扶助」がある。 保護の実施主体は、都道府県、市町村が設置した福祉事務所である。また、その...