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「地域包括診療加算」による“登録医”制度の陥穽を衝く

オピニオン 2014年2月4日 (火)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

1月29日、中医協は今次診療報酬改定の個別改定項目を議論。焦点の診療所の「主治医機能の強化」に関し、「地域包括診療加算」の導入を提示した(『主治医評価、名称は「地域包括診療料」』を参照)。これは複数疾患への対応と健康管理、投薬やほかの医療機関受診の一元的把握・管理を担う、「主治医」、ホームドクターを念頭に置いている。しかし、他の医療機関でのこの加算のバッティング算定の排除など、事実上の「登録医」制度となっており、患者の治療の不自由や、医療機関相互の混乱を引き起こすことが容易に予見される。しかも地域包括ケアの拠点となるこの登録医制導入は、主治医・副主治医制の構築や、在宅に関与がない診療所への評価の軽視など問題を孕み、医療界や国民への周知やコンセンサス、十分な議論もないまま進められようとしている。われわれは改めてのこの策動の危険性や潜む問題について衝き、警鐘をする。 中医協の改定議論は、国策の「地域包括ケアシステム」構築に向け旗幟鮮明にした。個別改定項目に「地域包括ケア病棟入院料」や「地域包括診療料」「地域包括診療加算」と、初めて“地域包括(ケア)”を冠した点数項目を盛り込むこととした。 ...