1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 同性愛者無視のHIV対策はない

同性愛者無視のHIV対策はない

オピニオン 2014年5月20日 (火)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

朝日新聞デジタルによると、兵庫県議会の委員会において、自民党の井上英之県議がHIV感染に関し、「社会的に認めるべきじゃないといいますか、行政がホモ(原文まま)の指導をする必要があるのか」「偏った性嗜好で本来ハイリスクは承知でやっている人たちのこと。他にも重要課題がある中、行政が率先して対応する必要はない」と述べたという。 すでに(分かっているだけで)2万人以上いるHIV感染者/AIDS患者だが、新規患者の発生が止まらない。 2012年のデータでは兵庫県の新規HIV感染者は27名(全国7位)、AIDS患者は18名(全国6位)であった。神戸大病院でも毎月のように新患が紹介されている。抜本的な治癒法がなく、生涯にわたる通院/治療が必要な本感染症の生涯医療費は1億円とも言われる(今後の治療法の開発でさらに高額になる可能性もある)。純粋に医療問題として、兵庫県がHIV/AIDSに無関心でいることは、とうてい容認できないであろう。 HIV感染は血液、(一部の)体液などから起きるが、日本の場合、男性同性愛者(MSM)間の感染が多いのが特徴である。もちろん、異性間での感染も起きるし、残念ながら今でも献...