流産や癌、鼻血以上に混乱の可能性――鼻血漫画の影響Vol.2
レポート
2014年6月20日 (金)
池田宏之(m3.com編集部)
小学館のビッグ・コミックスピリッツに連載されている漫画「美味しんぼ」の中で、作中の人物が鼻血を出す表現が波紋を広げた問題。医学的に否定的な見解がありながら、実際のデータ不足から、問題の収拾が遅れた。福島県においては、鼻出血だけでなく、癌や被曝についても、容易に分析できるデータがない状況で、「放射線」と別の疾患が結び付いた場合、今回以上に混乱しかねない現状を抱えている。 否定できるデータがない 震災から3年以上が経過したにも関わらず、今回、鼻出血と放射線の関係性について否定するようなデータはなく、放射線の影響についての議論がインターネット上で広がり、マスコミも大きく取り上げた。安倍晋三首相までが影響を否定する発言をしたものの、公立相馬総合病院の耳鼻咽喉科の医師長谷川純氏らのまとめたデータなどが、政府関係者にも利用されて、ようやく沈静化を図れたような状況だった。 福島県では住民健康調査が実施されているが、被曝量や甲状腺検査が主な項目で、鼻出血は含まれていない。鼻出血は焼灼が必要なものから、軽微なものまで程度の差が大きいため統一した基準は作りづらい側面があるが、長谷川氏は、まとまったデータが...
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