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原発被災地の医師、何を考え、何を目指すか

レポート 2014年12月15日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

「現場からの医療改革推進協議会」の第9回シンポジウムが12月13日、東京都内で開催され、南相馬市立総合病院(福島県南相馬市)副院長の及川友好氏は、東日本大震災および福島第一原発事故から3年10カ月過ぎた現状を踏まえ、「原発から半径20km圏内は、政府が警戒区域に指定しているため、いまだ人が入れないことを忘れないでほしい」と震災が風化しないよう訴えるとともに、疾病発生率や震災関連死をはじめ、震災の影響に対する検証を進めていることを紹介した。 震災関連で講演も多い及川氏は、「我々の病院がどうなっているのか、その軌跡と、我々が何を考え、どう行動しているのか、何が問題なのかをお話する」と趣旨を説明。 今取り組んでいる検証の一つが、疾病発生率。及川氏は脳神経外科医で、自らの専門分野である脳卒中の人口10万人当たりの入院患者数は、震災前の月14.7人から、震災後は2013年12月までのデータで月21.9人に増加、震災前後で相対リスクが1.49倍になっているという。原因は同定できていないが、ストレス、生活環境による変化などのほか、医療費の無料化も影響していると及川氏は見る。今年9月までは所得を問わず...