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介護報酬マイナス改定を厳しく指弾する

オピニオン 2015年1月17日 (土)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

1月14日、介護報酬をマイナス改定とする次年度予算案が閣議決定された。全産業平均より月額「10万円も」低い賃金で働く介護現場へ、この「マイナス改定」のメッセージは重く響き、ギリギリで踏ん張っている現場職員の士気を確実に挫き、砕くことになる。当然、労働集約型産業、人的集約産業である介護サービスの質を落とし、介護事業所の存立さえ揺るがすことになる。2025年問題に対応する国策、地域包括ケアの構築にも逆行している。不理解による乱暴な議論の下、マイナス改定となった経緯も看過できない。われわれは、この介護報酬マイナス改定と暴論での政策決定に断固抗議する。 介護保険は、介護の社会化、介護地獄からの解放の世間の期待を背に受け2000年4月に制度がスタートした。5回の報酬改定(03年:▲2.3%、05年:▲1.9%、06年:▲0.5%、09年:+3.0%、12年:+1.2%)の累積で▲0.6%となっており、2000年時点の水準すら割り込んでいる。制度発足当初、必要な介護サービスの6割をカバーする水準からの出発であり、決して「潤沢」ではない「不十分」なサービス状態が起点だったことが忘れ去られている。今回...