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北里大医療事故 報告書から見る医療安全提言

オピニオン 2015年1月22日 (木)  中村幸嗣(危機管理専門血液内科医)

昨年北里大学病院血液内科で医療事故が生じ、患者さんがお亡くなりになったことが報道されました。ご冥福をお祈りします。(静脈に入れるべき針を誤って動脈に…患者死亡) さらに詳しい事故報告書が北里大学から出されています。(右頸部血腫の気道圧迫により窒息に至った医療事故の報告書) ちなみに北里大学はこの事故の影響で現在血液疾患の新患を受けいれていないようです。周りに血液疾患を受ける施設がないため、地域の方はとても大変だと思います。 報告書からの抜粋です。 【お亡くなりになった直接の要因】 1 右頸部に生じた巨大血腫が気道を圧迫し、このために気管内挿管が困難となり、気道確保までが遅れたため、低酸素脳症、多臓器不全に至ったこと。 【血腫の形成・増大を来たした要因】 1 自己末梢血造血幹細胞採取目的のカテーテル操作の際に、右頸部の動脈を穿刺したこと。 2 カテーテル内の血液が固まってしまうことを防ぐため、薬剤(へパリン)を用いた際、体内に過剰のへパリンが入ったこと。 【この医療事故を起こした背景要因】 1 当該科の診療体制、教育指導体制に不備があったこと。 2 処置を担当する医師、看護師など、医療従...