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ディオバン事件は他山の石

オピニオン 2015年4月19日 (日)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

ぼくは神戸大医学研究科の倫理委員長をしている。 倫理委員会は研究者が気持ちよくよい臨床研究をしていただくためのお手伝い役だといつも思っている。決して厚労省の指針に形式的に付き合わせるのが目標ではない。ましてや「てにをは」から重箱の隅をつついて書類の不備を探し出し、足を引っ張る役回りであってはならない。論文投稿時に査読者から、あるいは論文発表時に読者から、「それは倫理的にアカンやろ」と言われないための、研究参加者がいらぬ不利益を被らないための、研究者と被験者のサポートが倫理委員会の仕事だ。 しかし、申請者が委員会で苦言を呈され、申請の訂正ややり直しを求められたり、場合によっては却下されることもないではない。そういう事例はこちらとしてもなるたけ回避したいので、この一文を認める。少なくとも神戸大医学研究科で倫理委員会に申請したいと考えている人は、この文章をちょろっと読んでいただくとよいと思う。ただし、本文は岩田の私見であり、委員会の総意ではない(ましてや、他学、他研究科の見解はまったく顧慮していない)。厚労省のこれまでの「研究指針」はあとめられて「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」と...