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MERSウイルス感染症、韓国流行をうけて(2)

オピニオン 2015年6月13日 (土)  木村盛世(医療法人財団 綜友会 医学研究所所長)

韓国の医療機関で発生しているMERSコロナウイルス感染症を巡って、台湾が韓国への渡航制限を打ち出しました。 http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0YW24W20150610 こうした中、日本でも、韓国への渡航が縮小してきているとのことです。こうした措置が感染拡大をどの程度防げるのかは、定かではありません。それは、渡航制限や国境閉鎖などに代表される、所謂水際作戦によって、完全に封じ込められた感染症は、今までに存在しないからです。特に口や鼻からウイルスが入ることによって感染する、呼吸器感染症に関しては、こうした封じ込めが効果を示すという根拠は、その感染形式からも考えにくいのです。 14世紀から15世にかけて猛威を振るったペスト流行の際、ヨーロッパの国々は、流行地から来た船を40日間停めおきました。これが検疫(Quarantine)の語源となっています。しかし、結果的にペストから免れた国はありませんでした。また、呼吸器感染症として多くの命の奪ったスペイン風邪(インフルエンザ)に対しても、輸送機関の停止、国境閉鎖、集会の禁止などが行...