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薬剤師の法律問題SOS

オピニオン 2015年7月6日 (月)  赤羽根 秀宜氏(薬剤師・弁護士)

専門スキルを求められる薬剤師は、日々、そのスキルを研鑽(けんさん)する必要があります。そのため、従業員である薬剤師に研修の参加を強制する企業や病院などの雇用主もいるようです。この研修が所定の労働時間内に行われれば問題はありませんが、就業後に研修を実施しているのにも関わらず、時間外労働手当などを支払わない会社があり、問題になることがあります。今回は、所定労働時間外に実施される研修への参加強制について解説したいと思います。 雇用主は就業時間外の研修の参加を強制できるのか そもそも雇用主は、所定労働時間外の研修への参加を強制できるのでしょうか。法的には、法定労働時間を超えて労働することを「時間外労働」といいますが、「時間外労働」をさせるためには事業上の労使協定(36協定)を結び、労働基準監督署長に届け出る必要があります(労働基準法36条)。「時間外労働」をさせる旨が就業規則で規定されている、または、個別の労働契約に盛り込まれていることが必須であり、それらに合理性があることも必要です。通常、薬局や医療機関などでは時間外労働の発生が想定されているので、この手続きはとられているはずです。 しかし、...