1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 骨肉腫の術後、ISが家を奪った

骨肉腫の術後、ISが家を奪った

オピニオン 2015年7月12日 (日)  鎌田實(諏訪中央病院名誉院長)

14歳の少年マージッド君は骨肉腫の手術で左腕を切断した。 その手術が終わった直後、ISがシンジャール地方(イラク北部:m3.com編集部注)を攻撃。 マージッド君の家や学校が奪われた。 傷も癒えないうちに、シンジャールからアルビル郊外の難民キャンプに逃げてきた。 4月にぼくが訪ねたとき、マージッド君はこう言った。 「ぼくは幸せじゃない。家もなくなった。ISに学校も壊された。病気がぼくの左腕を持っていった」 気分を変えたくて、ぼくは「君の夢は何?」と尋ねた。 「サッカー」 そう答えるマージッド君とサッカーボールを蹴り、パスをした。 6月、再び彼がいる難民キャンプを訪ねた。 マージッド君の父親から、胸の写真を見てくれといわれて驚いた。両肺に転移がある。厳しい状態だ。骨肉腫は化学療法が効く場合があるので、何とか効いてほしい。 6月に九州から参加してくれた看護師の飯干さんが、マージッド君を何とか励まそうと、Jリーグの得点王・大久保選手や海外で活躍する香川選手にサインをしてもらった。 そして、先日はイラクの人気ナンバーワン・ストライカーであるユーニス・マフムード選手に会えることになった。マフムー...