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合法的なカルテ情報の企業利用に道開く

オピニオン 2015年7月25日 (土)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

政府は2020年のオリンピックに向け「世界最先端のIT国家」をめざし社会基盤整備を急いでいる。それは税務・厚生などの官公庁のみならず民間が保有する諸分野の情報を極力、電子データ化しネット環境下、オンラインで連携・結合し、社会生活のあらゆる場面で活用する、社会構造の「パラダイム転換」である。「情報」の範疇は文書化、文字化されない「生体」データまでも対象である。 近く実施の共通番号制(マイナンバー制)は、この構図の中での「屋台骨」となる。「官」の行政事務の効率化を超えた、「民」での利用と展開が織り込みずみであり、医療分野においてカルテ情報等の「集積」と企業による利用が堂々と計画されている。われわれは、医療を蹂躙し、社会混乱を招く、この危険なマイナンバー制の実施凍結、撤回を強く求めるものである。 ◆「一体改革」の武器、資産要件、疾病自己責任による給付抑制 番号制は消費税増税、社会保障制度改革と併せ「3点セット」の「一体改革」で、徴税強化と社会保障給付の抑制を狙いとし計画されたものである。利点と喧伝された低所得者救済の「給付つき税額控除」、患者負担軽減策の「総合合算制」は雲散霧消し跡形もない。...