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がん診療、 理不尽な施設格差

オピニオン 2015年8月5日 (水)  渡辺亨(浜松オンコロジーセンター院長)

がん診療の均霑化(きんてんか)が叫ばれて久しい。均霑化とは「平等に恩恵や利益が行き渡るようにすること」。つまり、がんの診断、治療について、地域による違い、病院による違いがないように取りはからいましょう、という努力目標である。 ガイドラインの普及や標準的治療の考え方が普及した今日、へんちくりんな医局レジメンは陰を潜めた。また、かつては琵琶湖周辺で根強く使われていた乳がんのへんちくりんなDMpCとかいうレジメンも信奉者が次第に減少してきた。しかし、地域、病院、施設によって、「保険がきかないから」という理由でへんちくりんなことをやっているところもある。 大学病院で診てもらっている再発乳がんの閉経前女性が卵巣摘除術を主治医からすすめられた、ということで、セカンドオピニオンを聞きに来た。 卵巣摘除術はホルモン感受性のある閉経前乳がんでは、意味のある治療手段であるとは思うのだが、その女性の場合、理由がすこしばっかりおかしい。フルベストラントやアロマターゼ阻害剤、エキセメスタン+アフィニトールは、閉経後でないと使用できないので卵巣摘出手術をする、というのだ。実際、その県では、閉経前女性で、LHRHア...