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MERSの教訓を外来に生かせ

オピニオン 2015年9月12日 (土)  外岡立人(医学ジャーナリスト、医学博士)

韓国のMERSは事実上流行が終息している。間もなく流行終息宣言が公的にWHOの了解のもとに発表されるのを待つだけとなっている。 韓国のMERSが終息を迎えることは大変喜ばしい事なのであるが、問題が全て解明されたとは言いがたい。 ・なぜ韓国でこれだけの大流行が起きたのか? ・この大流行はどのように対処することで終息に向かうことが出来たのか? 上記2点が総括されなければ、韓国のMERS大流行は、日本はもとより世界にとって何の教訓を残さなかったことになる。 以下私見をまとめた。参考になれば幸いである。 大流行が起きた理由として、韓国政府による情報の遅れと、そのための各病院、特にサムスン病院の感染予防対策の不手際が上げられている。 確かに韓国保健省の各病院へのMERS情報の伝達は不十分で、病院当局もMERSという感染症を十分把握していなかった。 しかしMERSコロナウイルスは容易に人には感染しないとされてきた。それは流行の発生地であるサウジアラビアの事例で確認されている。 2012年以来1000例を越える感染者が出ているサウジアラビアでも、市中での人から人への感染は非常に少ない。 しかし狭い、...