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紹介状なし定額負担、機能分化とは無関係

オピニオン 2015年10月9日 (金)  桑島政臣(神奈川県保険医協会政策部長)

紹介状なしの大病院受診の定額負担に関する中医協議論が始まった。この方策は軽症患者の機能分担の有効打との巷の理解とは違い、「骨太方針2015」、「保健医療2035」で今後の焦点とされる「かかりつけ医」の普及と結んだ「受診時定額負担」導入の先鞭であり、「療養の給付」の瓦解に道を開くものとなる。われわれは改めてそのことを警鐘するとともに、定額負担の義務化の実施に強く反対する。 ◆実質、義務化で大学病院は既に5,000円負担が大勢 紹介状なし受診の大病院の代表格、大学病院は既に紹介率が8割に上る。紹介状のない患者は2割(救急患者を除く)となるが、大病院の初診患者の数は全体の9.8%であり、紹介状のない患者は大学病院では2%に過ぎない。しかも、東京都下で9割、大都市圏で7割の大学病院は既に紹介状なし受診の定額負担は5,000円相当以上の金額を徴収しており、議論の想定水準での実質、義務化となっている。 つまり、現在、議論している紹介状なしの定額負担の義務化は、軽症患者の診療分担、機能分化や勤務医の過重負担の解消には作用するものではない。勤務医の過重負担は患者数の多さが要因であり軽症患者の集中にはな...