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「1億総活躍社会」は分かりにくい

オピニオン 2015年10月24日 (土)  河合雅司(産経新聞 論説委員)

安倍晋三首相が打ち出した「1億総活躍社会」が分かりにくい。 首相は記者会見で「誰もが今よりも、もう一歩前へ踏み出すことができる社会を創る」と説明した。改めて確認するまでもないが、ここでいう「1億」とは「全国民」の意味である。すべての人が家庭や職場、地域において活動できる社会となるよう諸制度を見直そうということだ。人口減少で細り行く労働力人口を懸念し、働く意欲と能力のある人にはすべて働いてもらいたいとの期待もあろう。その是非は脇に置くとして、こうした説明ならば首相の意図はイメージしやすい。 では、なぜ分かりにくいかと言えば、安倍首相は同時に「少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持する」とも語ったからだ。 「1億」という数字こそ同じであるが、「1億国民が活躍」と「人口1億人維持」とでは政策の性格が異なる。前者は人口減少に伴う社会システムの激変への対応策であり、後者は人口減少を根本から食い止めることが目的だ。「誰もが活躍できる社会」を実現できたからといって、人口減少に歯止めがかかるわけではない。更に言えば、「すべての人が活躍できる社会」とは理想であり、人口が増えようが、減ろうが...