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“医師有罪”でも続く、造影剤の誤投与事故

レポート 2015年11月23日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

11月22日、千葉県で開催された第10回医療の質・安全学会学術集会のシンポジウム「最近の医療事故から薬剤に関する医療安全を考える」で、浜松医科大学医学部法学教授の大磯義一郎氏は、国立国際医療研究センター病院をはじめ、ウログラフインなどの脊髄腔への誤投与事故に関する分析結果を紹介。 浜松医大の大磯義一郎氏 報道などで調べた結果、脊髄腔への誤投与事故で刑事事件化し、医療者が有罪になった事例はこれまでに7件あるが、繰り返し同様の事故が起きており、その当事者は経験が浅い若い医師が多いという。大磯氏は、医師の刑事責任を問うことが、事故の再発防止にはつながらないと指摘。 10月から医療事故調査制度がスタートしたが、大磯氏は、事故調査報告書にも、警鐘を鳴らした。「人が間違えたから、事故は起きる。気合いを入れたら、事故は起きないというのが、裁判官の論理」。こう指摘する大磯氏は、事故原因を人的要因に帰着させた報告書を作成すれば、裁判官の「ストライクゾーン」に入り、結果的に、若い医師が刑事責任を問われることになりかねない上、再発防止にもつながらないとした。 「刑事事件化すれば100%有罪」 これまで国内で...