前頭側頭型認知症の芸術的才能出現機序に新仮説

前頭側頭型認知症（FTD）患者689例を対象に、視覚的芸術的創造性（visual artistic creativity：VAC）の解剖学的および生理学的基盤を症例対照研究で検討。VAC出現が見られるFTD（VAC-FTD）患者17例（2.5％、平均年齢65歳、女性58.8％）とマッチさせた視覚的芸術性の出現が見られないFTD（NVA-FTD）患者51例（64.8歳、49.0％）および健常対照者51例（64.5歳、49％）を対象とした。 その結果、VAC出現はFTD症状発症前後に認められ、出現率は側頭葉優位な変性患者が47.1％と高かった。萎縮ネットワークマッピングで、健常脳での活動性がVAC-FTD群17例（100％）およびNVA-FTD群45例（88.2％）の患者別萎縮パターン内の領域の活動性と逆相関を示す背側後頭領域が特定された。共分散構造分析で、VAC-FTD群にこの背側後頭領域の体積と右手の運動表現に対応する一次運動野の体積に強い相関が見られたが、NVA-FTD群や健常者群には認められなかった。...