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手の診かた(先天奇形を除く)――指が伸びない・屈伸時にひっかかる

2024年1月1日  南山堂

第6章 手の診かた(先天奇形を除く) 筆者は手外科専門医ではありませんが、小児整形外科専門医でもこどもの手を診療する機会は少なくありません。本章では、手外科専門医でなくとも知っておくべきことについて解説します。 愁訴からの診断 1 指が伸びない・屈伸時にひっかかる 思い浮かべるべき疾患 強剛母指・弾発指(ばね指)、先天性握り母指症、先天性多発性関節拘縮症、 先天性拘縮性くも状指趾症(Beals症候群)、 屈指症、Charcot-Marie-Tooth 病(CMT) 先天奇形を除くこどもの手の愁訴で最も多いものです。自然に良くなるものから難治性のものまでさまざまです。 診断へのプロセス STEP 1 診察所見でほぼ診断可能 母指だけに症状があり、MP(中手指節)関節掌側に固い腫瘤を触れる場合は、強剛母指と診断します。長母指屈筋腱がこの部位で腫大し、屈筋腱腱鞘にひっかかる状態となっています。腫大部が腱鞘の近位にあって遠位に移動できない状態のときは、伸展制限がみられます(図6-1)。この場合、MP関節を伸展するとIP(指節間)関節の伸展制限がより強くなることで、腱のロッキングが証明できます。...