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肘と前腕の診かた――乳幼児の「肩がはずれた」「腕を動かさない」

2024年1月8日  南山堂

第7章 肘と前腕の診かた 学童期以降では、野球肘の患児が圧倒的に多い一方、幼児期では難治性疾患の多い部位です。骨折の多い部位なので、骨折の後遺症があとになって表れることもあります。 愁訴からの診断 1 乳幼児の「肩がはずれた」・「腕を動かさない」 思い浮かべるべき疾患 肘内障、上腕骨不全骨折(上腕骨顆上骨折が多い)、鎖骨骨折 肘と前腕の章でいきなり肩の愁訴となりましたが、実際、乳幼児の肘疾患で一番多い愁訴は「肩がはずれた」です。乳幼児の肩は、交通事故や高所転落などの高エネルギー外傷がない限り脱臼しません。「肩がはずれた」といって来院する乳幼児のほとんどは、「上肢を動かさなくなった」という症状をみた保護者が「肩がはずれた」と推測しているに過ぎません。そのほとんどは肘内障です。しかし、ときに単純X線検査ではすぐに診断できない上腕骨顆上骨折(不全骨折)が、こうした患児の中に紛れていることを知っておく必要があります。 診断へのプロセス STEP 1 肘内障の整復操作を行う 来院時、すでに治っていると言われることが少なくありません。その場合は、そのまま様子をみてもらいます。 超音波検査が可能で...