「過敏性腸症候群」四大処方の使い分け
今回解説した4処方に対する、腹痛や便通異常を訴える人の分布を図II-10-1に示します。横軸には陰陽の病態を、縦軸には腹痛や便通異常を訴える人の割合をとっています。陽とは熱性、活動性、発揚性の状態を意味します。一方、陰とは、寒性、非活動性、沈滞性の状態を意味します。今回の4処方においては、加味逍遙散は陽の病態に、桂枝加芍薬湯、小建中湯、大建中湯は陰の病態にそれぞれ適応になります。抗病力の有無をみる虚実の視点からは、4処方はすべて虚証に適応となります。
先ほどの症例を考察してみましょう。まず陰陽については、寒がりで手足が冷えること、舌診での湿潤した微白苔から陰証と判断します。脈力はやや虚で、腹力は中等度であることから、やや虚~虚実間証と考えます。気血水では、疲れやすい、翌朝疲れが残る、気力がないは気虚を、腹部の張りは気滞を、発作性腹痛は気逆を、また、腹診における腹直筋の緊張は血虚を、両側臍傍圧痛はお血をそれぞれ示唆します。以上をまとめると、陰証でやや虚~虚実間証、気虚を主体とし、気滞・気逆・血虚・お血を伴った病態と考えます。...
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