【ミニレクチャー】診断エラーの回避のために
今回の症例では危うくてんかんと誤診するところでした。ですがこれを決して対岸の火事としてはいけません。実際に、てんかん診療でのオーバートリアージは今もなお問題となっており、てんかんと診断されて初期治療に反応しなかった症例のうち25~30%程度は実際にはてんかんではないとされています3)。つまり4人に1人は診断が間違っていることになり極めて深刻なエラーです(図1)。てんかんという診断は「人生の診断」そのものですので、過剰診断だけは避けねばなりません。大事なことは「3原則」ですが、それ以外の注意点をここで紹介します。
(1)早期閉鎖に注意する
今回の症例は10代初発のけいれんでMRIは正常だったことから特発性全般てんかんをまずは想起しやすいでしょう。関連するキーワードが揃うと、それっぽい鑑別診断が思いついてしまい、早々に熟考をやめてしまうことを認知バイアスの一つである早期閉鎖といいます。
(2)薬物治療をあえて急がない勇気
発作が立て続けに3回も起こると、どうしても「次に起きたらどうしよう」とか「薬は何を使う?」...
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