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ゲノム科学が生み出した「個別化医療」【平成の医療史30年◆ゲノムサイエンス編】

2019年2月26日  平成の医療史30年

 今や一部のがん治療では、ゲノム情報を基に、患者個々人に合った治療法を提供する「精密医療(プレシジョン・メディシン)」が現実のものとなっている。その土台となる「ゲノムサイエンス」は、1990年(平成2年)に開始された「ヒトゲノム計画」を端緒として平成の30年間で大きく花開いた。ゲノムサイエンスの専門家として長年、がんのシステム生物学を牽引してきた東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス分野教授の油谷浩幸氏に、ゲノム研究とがん治療に関する30年を振り返ってもらった。次世代シーケンサーをはじめとするテクノロジーの進化が、がんゲノム研究を大きく推進したと油谷氏は語る。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・宮内諭/2018年12月10日取材/全2回連載) 世界に先駆けて網羅的な遺伝子発現解析に着手 ――先生が研究を始められた昭和から平成に変わる時期、ゲノムサイエンス分野はどのような状況だったのでしょうか。  私が東京大学医学部医学科を卒業したのは1980年(昭和55年)でした。その当時は大学病院で臨床のかたわら研究する医師が多く、研修医を行いながらも疾患メカニ...