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ゲノム科学は「情報統合の時代」へ【平成の医療史30年◆ゲノムサイエンス編】

2019年3月1日  平成の医療史30年

 平成より少し前の1982年(昭和57年)、ヒトでは初となるがん遺伝子「Ras」が同定されたことを皮切りに、多くのがん原因遺伝子が発見された。そして、それらの遺伝子をターゲットとする分子標的薬の登場により、がん治療は大きく改善された。ゲノム解読のコストが劇的に下がった今、がん治療はどのように発展していくのだろうか。種々のがんのマーカー遺伝子を同定し、長年、がんのシステム生物学を牽引してきた東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス分野教授の油谷浩幸氏に、ゲノム研究とがん治療に関する30年を振り返ってもらった。油谷氏にとって、ゲノム医療における平成最大の転換点は「ゲフィチニブの登場」だったという。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・宮内諭/2018年12月10日取材、全2回連載) イレッサの登場で、その後の研究の方向性が決まった ――平成時代において、ゲノムサイエンスと創薬研究との面での大きな転換点は何でしたか。  私が考える一番大きな出来事と言えば、2004年(平成16年)に発表された「ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)がEGFR遺伝子の変異を持つがん種...