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「やれる」「やりたい」では解決しない問題【平成の医療史30年◆生殖医療編】

2019年4月10日  平成の医療史30年

 【平成の医療史30年◆生殖医療編】の最終回は、いまも変遷の過程にある生殖補助医療と、女性医学の展望について。日本産科婦人科学会元理事長・吉村泰典氏のインタビュー。 ノーベル賞受賞まで32年かかった体外受精 ――科学技術が進歩すると新たな軋轢が生まれますね。医学も、これを繰り返してきた領域だと思います。日本産科婦人科学会は、不妊治療や出生前診断といったテーマで、その軋轢に直面してきた団体だと思いますが、学会として何をどのように検討し、判断しているのでしょうか。  技術の進歩に伴う軋轢は、確かに一部の根本的な問題には生じます。ですが、現実に起きている問題の多くは、技術が進歩したから起きているわけではありません。生殖補助医療(体外受精あるいは顕微授精)でできた凍結胚を保管しておいて、夫の同意を得ずに妻が戻したとか、代理懐胎で生まれた子がダウン症だったから引き取らないといった問題は、技術が進歩したから起きた問題ではなく、それ以前の問題なのですよね。  とはいえ、生殖補助医療や出生前診断は、確かに新しい軋轢を生じさせました。中でも体外受精は1978年にRobe...