精神科薬物治療はどう変わっていったのか【平成の医療史30年◆精神科編】
樋口輝彦氏
平成を通じて、薬物治療も大きな変化があった精神科疾患。ここでは、統合失調症、うつ病、認知症などの治療薬の変遷、さらに、次の時代に期待することについて、国立精神・神経医療研究センター名誉理事長の樋口輝彦氏(日本うつ病センター理事長)に聞いた。(聞き手・まとめ:m3com編集部・小島領平/2018年11月30日取材、全3回連載)
副作用が少なくなった薬物治療、さらなる向上には……
――平成30年間における変化、薬物治療についてはいかがでしょうか。
うつ病については、1999年(平成11年)に国内で初めて発売されたSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や、翌年発売のSNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)の登場により、三環系抗うつ薬がほとんど使われなくなってきました。米国では、三環系抗うつ薬を処方する若い医師はいない、といわれているほどです。重篤な副作用が出にくくなった半面、自殺関連行動や賦活症候群(activation syndrome)などの課題も出てきましたが、効果については三環系抗うつ薬とおおよそ同等で、...
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