1. m3.comトップ
  2. 臨床ニュース
  3. 肺炎死は一時終戦直後の水準に【平成の医療史30年◆呼吸器編】

肺炎死は一時終戦直後の水準に【平成の医療史30年◆呼吸器編】

2019年4月22日  平成の医療史30年

 薬物治療や胸部CTの発展など、平成の間に呼吸器科の診療にも大きな変化がもたらされた。その恩恵を最も受けたのが気管支喘息や呼吸器結核で、死亡率が劇的に改善した。一方で、平成を通じて人口10万人当たりの死亡率が増加した肺癌や慢性閉塞性肺疾患(COPD)も診断・治療は着実に向上している。また肺炎は死亡率が一時、終戦直後と同水準にまで悪化したが、これは統計手法による事情も大きく影響しているという。ここでは、統計データから呼吸器疾患の平成時代の変遷を振り返ると共に、次回からは倉敷中央病院呼吸器内科主任部長・石田直氏の話を紹介する。(m3.com編集部・小島領平) 喘息:死亡率が大幅改善  平成を通じて治療成績が改善した呼吸器疾患と言えば、喘息が挙げられるだろう。厚生労働省の「患者調査」によると、総患者数は1990年(平成2年)の85万人から2014年(平成26年)117万7000人まで増減を繰り返しているものの、同省「人口動態統計」を見ると、死亡数は1995年(平成7年)の7253人から2016年(平成28年)は1454人、10万人当たりの死亡率も5.8から1.2へと、大幅に改善した(...