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【寄稿】新しい呼吸器病学を日本から―Vol. 4 ガス交換理論の大間違い(1)肺胞気式とAaDO2

2021年7月13日  ドクター寄稿

今回から、3回にわたって肺のガス交換について解説します。呼吸管理に携わる医療者の方々は、肺胞気式(とそれを用いるAaDO2の算出式)、肺胞換気量、肺拡散能の式を必ず覚えさせられます。しかし、これらの式によって診断や治療方針が左右されることはほとんどなく、臨床現場では使われていません。臨床現場で使えないのは、ずばり、理論が誤っているからです。最初に肺胞気式と肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)を取りあげます。 場違いな呼吸商 口から吸入された空気は気道を通って肺胞に至り、肺胞腔内に存在する空気とまじりあいます。肺胞腔内の空気、つまり「肺胞気」の酸素の一部は肺胞壁の毛細血管を流れる血液に取り込まれます。血液中のCO2の一部は肺胞気中に移動し、呼気として排出されます(図1)。 図1.肺胞における酸素とCO2の移動 (筆者作成) 肺胞気中の酸素分圧(PAO2)を推定する式が下記の「肺胞気式」です。厳密にはもう少し複雑な式ですが、無視しうる項を省略した結果が式(1)です。 (1)PAO2=PIO2-PaCO2/R ここで、PIO2は吸入気酸素分圧のことで既知の値です。PaCO2は動脈血CO2分...