私が「漢方薬が効く」と初めて感じた日【思い出の臨床風景】
私が医学生の頃は大学医学部の教育の中に漢方薬に関する講義はなかった。卒業後は大学病院と地域の基幹病院で研修を受けたが、3年間の研修期間の間に漢方薬を使用した経験は一度もない。大学院と米国留学では生化学的な手法を用いて疾患の病態の解明に関する研究を行い、頭の中は化学構造式でいっぱいになった。帰国後は神戸大学の教員として分子生物学の研究を大学院生と一緒に行うことになる。この時点で消化器系の疾患に関する病態はかなり分かったつもりでいたし、診療でも癌以外はなんでも治せそうな気がしていた。...
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