3.頸部の診察 (1)頸静脈 頸静脈の診察では、外頸静脈と内頸静脈の解剖学的な位置関係を意識しながら観察します(図1)。 図1 頸静脈の位置関係 ①外頸静脈 外頸静脈は患者さんの訴える症状によって観察するポイントが異なります。大きく異なる点としては姿勢による外頸静脈の見え方の違いです。 正常な外頸静脈は坐位では確認できず、被験者を仰臥位にしてはじめて観察できます(図2)。 図2 正常な外頸静脈(仰臥位) 外頸静脈の異常は正常の逆、つまり坐位でも外頸静脈が観察できる場合、または仰臥位でも外頸静脈が観察できない場合です。坐位で外頸静脈が観察できる場合は、①中心静脈圧の上昇、②胸腔内圧の上昇、③上大静脈症候群の3つを考えます。 患者さんがショックバイタルであるとき、外頸静脈の見え方によって病態を分類できることがあります。ショックバイタルであるにもかかわらず、坐位で外頸静脈の怒張が確認できる場合は、高静脈圧型ショックと呼ばれ、心原性ショック、閉塞性ショックの可能性が高いです。一方、仰臥位でも外頸静脈が観察できない場合は、低静脈圧型ショックと呼び、循環血液量減少性ショックと血液分布異常性ショッ...
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