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医師に過失はあったのか、麻酔薬投与後の急変事例に学ぶ

2024年9月5日  診断と治療社

過失=注意義務違反 ここでは、前項(連載第3回、第4回 )で説明した民事責任(損害賠償責任)が認められる3つの要件、①過失、②損害結果の発生、③因果関係のうち、①過失についてみていきます。 次の事例31と事例32について、それぞれ、医師Y3には過失があるでしょうか? 事例3—1:麻酔薬投与後の急変 患者X3さんは、虫垂炎の診断で、A3病院で手術を受けることとなりました。麻酔科医のY3は、10分毎のバイタルチェックをしながら、X3さんに対し、麻酔薬Cを投与しました。麻酔薬C投与後しばらくすると、X3さんの全身状態は急変しましたが、これに気づかず、対応が遅れてしまい、死亡しました。死亡原因は、麻酔薬Cの副作用であり、医師Y3がX3さんの急変にもっと早く気づき適切に対応していれば、救命できたと考えられました。 麻酔薬Cの添付文書には、投与後30分までは2分おきのバイタルチェックをするように注意書きがあり、通常、A3病院の麻酔科では、麻酔薬Cを使用する際には、これを行っており、実際にこれまでも、麻酔薬C投与後に患者の急変に気づき、速やかに適切な対応を行って、後遺症を残さずに回復した事例を経験...