1990年代は日本でも病名告知率はまだまだ低かった(15%前後)ですが、そこから2010 年にかけてゆっくりと上昇し、2016年の調査では94%まで到達しました1)。余談ですが、山崎豊子原作の「白い巨塔」で主人公の財前先生が末期のがんになったとき、原作の小説(1960年代後半)では本人には告知されなかったのは当時の慣習として普通だったのでしょうが、2003~2004年に放送された唐沢寿明主演のドラマでは、大学病院でも告知されていませんでした(正確に言うと、本当は末期がんなのに初期のがんと伝えていました)。結局、大学病院を去った里見先生のところへ行って真実を聞きます。もちろん、原作をリスペクトしてそこから外れないようにという配慮があったのだと思いますが、「この時代に大学病院で教授を相手にそこまでして病状を隠すかね?」という違和感を抱いたのを記憶しています。
2024年の現在では、日本においても本人への告知は一般的になっているのではないでしょうか? しかし、日本のなかでも住んでいる場所によっては、家族から「本人には言わないで」あるいは「あまり詳しく話さないで」という...
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