「頻尿」四大処方の使い分け
今回解説した4処方に対する、頻尿の方の分布を図II-12-1に示します。横軸には虚実の病態を、縦軸には頻尿の方の割合をとっています。漢方医学においては、体力の不足を基本とした、抵抗力・反応力が低下した病態を虚、体力の充実を基盤とした、抵抗力・反応力の充実した病態を実と表現します。柴胡加竜骨牡蛎湯は実証に、竜胆瀉肝湯は実~虚実間証に、清心蓮子飲は虚実間~虚証に、牛車腎気丸は虚証にそれぞれ適応となります。病態の寒熱を表す陰陽においては、柴胡加竜骨牡蛎湯、竜胆瀉肝湯は陽証に、牛車腎気丸は陰証に、清心蓮子飲は陰液不足により仮性の熱を呈することから陽証に分類しますが、陰証にも用いることがあります。
先ほどの症例を考察してみましょう。陰陽については、手足が冷えることから陰の病態を疑いますが、ほかにはそれほど強い冷え症候はないようです。虚実は、脈力が中間で腹力はやや軟弱であることから虚実間~虚証と判断しました。気血水では、疲れやすい、気力がないは気虚を、排ガスが多いは気滞を示唆します。以上、やや陰証で虚実間~虚証、気虚・気滞の病態と弁証できます。...
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