誤嚥性肺炎による入院を繰り返している88歳男性患者は、嚥下機能の低下が著しく、吸痰や胃管処置のたびに「もうやめてくれ」と拒否を示すようになりました。一方、家族は「元気なときの父なら諦めない」と治療継続を望んでいます。代替栄養を含む治療を続けるべきか判断に迷うケースで、医師である自分自身も治療を継続するべきなのか、本人の言葉をそのまま受け取って医療を中止するのか葛藤していました。
倫理的葛藤が起こる場面で役立つフレームワーク
そんな倫理的葛藤が起こる状況で役立つのが、臨床倫理のフレームワークです。
臨床倫理を考える際には、医療倫理の4原則の視点が重要です。
自律尊重原則:患者本人の意思や価値観を尊重する
無危害原則:医療によって不必要な苦痛や害を与えないようにする
善行原則:患者にとっての利益を目指す
公正原則:医療資源や判断の公平性を担保する
今回の場面で特に問題となるのが、自律尊重原則でした。患者の言葉や態度を、どこまで本人の意思ととらえるべきなのでしょうか。...
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