在宅の緊急時対応「搬送して終わり」にしていませんか?<前編>
疾患ごとに予想される予後は異なる
図I-1 は亀田総合病院在宅医療部における20年間の各疾患の依頼からの存命期間をグラフ化したものです。当然のことですが、疾患によって予後は大きく異なります。悪性腫瘍では、依頼から約45日で半数の患者が亡くなり、脳血管障害では1,100日で半数の患者が亡くなっています。このように疾患によって、患者に残されている時間は大きく異なっています。
残されている時間と、その後に起こるであろう経過をある程度知っておくことが、目の前で起きている緊急事態にどのように対処すれば彼らの将来を彼らの望む方向に進めることができるのかの重要な判断材料の1つになると筆者らは考えます。死を前提とせざるを得ない時期における緊急事態に対してどのように対処するのが最善なのかを予後別に提示するのが本書の目的である以上、疾患ごとに予想される予後は治療の選択にとって非常に重要な要素なのです。
この項では論文的な知識ではなく、経験上での各疾患のトラジェクトリーを簡単に述べていきます。
1 悪性腫瘍
a. 一般的な依頼後の経過
①通常の悪性腫瘍の経過...
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