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悲惨な現実から目を背けることできず - 蓮田健・慈恵病院院長に聞く◆Vol.3

インタビュー 2022年3月21日 (月)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――そもそも「望まない妊娠」を避けることが必要ですが、仮に「望まない妊娠」をしてもそれを支える仕組みが必要です。その一つが「ゆりかご」であり、「内密出産」だと思いますが、いずれも国内で取り組んでいるのは慈恵病院のみです。なぜ他に広がらないのでしょうか。  一つには、費用の問題です。2007年に「ゆりかご」をスタートさせた際、相談体制と必ず一体化させることが前提でした。それが「SOS赤ちゃんとお母さんの妊娠相談」です。24時間フリーダイヤルで相談に応じる体制で、今ではメールでも受け付けます。最近は行政の相談窓口が少しずつですが充実してきたこともあり、一時期よりは相談件数は減少していますが、それでも年間6000件強に上ります。責任を持って対応する相談員を常勤で配置する必要があり、その費用に年間約2000万円かかります。うち約500万円は寄附で賄っていますが、残りは持ち出しです。...