「希望」と「無益」の狭間で医者も患者も悩む
オピニオン
2022年9月4日 (日)
國頭英夫(日本赤十字社医療センター化学療法科)
絶望的な状況に陥っても、人間は希望を捨てられないものです。ただし、そういう患者に「希望を与える(だけの)ため」に行う苦し紛れの治療は、圧倒的多くの場合、裏目に出て患者をもっと辛い目に遭わせるだけに終わります。そういう時、我々が「患者が(もしくは家族が)希望したのだから仕方がない」、つまり「こちらには責任がない」という立場を取ると、治療前よりもさらに苦しい状況に陥っている患者や家族に対して「だから言わんこっちゃない」なんて無情な言葉を投げかけてしまうことにもなりますが、それは避けねばなりません。「治療をした」以上は我々もまた同罪であり、それが嫌なら、なんとしてでも治療前に止める必要があります。...
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