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医師の“過労・交通事故死”裁判、その三つの特徴とは?

レポート 2009年11月18日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

「医師の過労は、医療事故のリスクでもある」と警鐘を鳴らす、松丸正・弁護士。 「判決前は、どんな結果になるか、正直予想が付かなかった。損害賠償が一円も認められなくても、病院側の安全配慮義務違反が認められれば、こちらの勝利だと思っていた」 先月10月16日の鳥取地裁判決について、こう語るのは弁護士の松丸正氏。2003年3月8日、鳥取大学の大学院生(外科医)が交通事故で死亡。判決では、事故は大学院生の極度の睡眠不足や過労に起因し、安全配慮義務を怠った大学に責任があると判断、約2000万円の損害賠償の支払いを大学に命じた。大学は控訴せず、判決は確定している。 「2000万円という数字を低いと見る人もいるが、私はそう思っていない。大学院生が自ら車を運転し、見通しの良い直線道路でセンターラインを越えた事故だったので、単純に交通事故という観点だけから見れば、過失は100%医師にある。その上、アルバイト先の病院への通勤途上のため、労災保険(通勤途上災害の遺族一時金)から約3000万円支給されている。しかし、判決では、大学院生の勤務について、大学の安全配慮義務を広く認めている。2000万円という数字は、...