霞が関の在り方に疑問を覚えたのが退職理由 - 元財務官僚・村上正泰氏に聞く◆Vol.5
インタビュー
2009年12月3日 (木)
聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)
「従来の政治は官僚主導と言われるが、結局、政治家が官僚に過度に依存しすぎていた」と語る、村上正泰氏。 ――最後にお聞きしたいのですが、最初は財務省に入省され、2004年7月から2年間、厚労省に出向されています。「医療崩壊の根本原因は、医療費抑制政策にある」といった今日お聞きしたようなお考えは、出向以前の段階からお持ちだったのでしょうか。 出向前までは医療制度のことはあまり知りませんでした。仕事の上でも、出向前に財務省で医療関係の業務に携わるということはありませんでした。むしろ私がいた厚労省保険局への出向ポストは、財務省に戻って数年経つと、厚労省の手の内を熟知しているということで、主計局厚生労働第3係の主査になるという人事が続いています。 ただ、私は経済学部出身で、「国民負担率を抑えるべき」という議論には疑問を持っていました。先ほども触れましたが、様々な実証研究からは、「国民負担率と経済成長率は、相関関係がない」という分析がたくさん出ていたからです。厚労省に実際に行ってから、医療政策の観点から見て、国民負担率を抑制すべきという論はおかしい、という思いを強めました。 ――そして厚労省を最後...
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