初期研修に進まず茨の道、今やっと「医療に貢献」

20年前から目指していた「AI×医療」が、今ようやく日の目を見るようになった。どんな医師になりたいか聞かれれば「人工知能研究がしたい」と答え、その言葉通り国試合格後も初期研修には進まなかった。AIとは遠いウイルス分野の研究にも従事した。茨の道を歩んできたが、今や医療分野のAI活用が叫ばれ、ラボには学生が続々やって来る。「論理的に考えれば、AIが医療分野においても実用化されることは間違いないと確信していた。臨床とは違う方法で医療に貢献したい」 高校時代は数学オリンピックに出場し、数学者になることを志していた。自分よりも才能豊かな同世代が数多く存在することを思い知り、せめて得意な数学を生かしたいと興味を持ったのが人工知能（AI）の分野だ。2000年代の初め、AIを研究できる大学は少なく、脳の構造や情報処理、疾患について幅広く学ぶことができる医学部を目指した。...