「医師」という職業にリスペクトを感じる体験は皆無だった
オピニオン
2023年8月11日 (金)
櫻井滋・元岩手医科大教授
私の幼少期、1950年代は戦後の復興期であり、地域社会には収益性を考える以前に、生活インフラとしての医療という本質的ニーズがあって、従事する医療者側の達成感も大きい時代だった。つまり、あの時代における「医業継承の目的」は、利益確保による経済的安定や社会的地位の追求ではなく、「地域医療の維持」という住民の付託そのものだった。そのためか、岩手では1950年代になっても同族による継承は個人的営利ではなく、社会的に看過し得る医業のあり方であるという、一定の合意があったと考えるからである。...
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