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EBMの問題点、指摘できる実力はあるか

オピニオン 2013年12月24日 (火)  岩田健太郎(神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授)

よく、「エビデンスだけで医療が出来る訳ではない」「エビデンス偏重な最近の医療にいかがなものかと」みたいなコメントを耳にする。それ自体は、間違いではない。 聴診器だけで医療が出来るわけではない。聴診器偏重な、、、と同じ発想だ。したがって、「EBMなんて勉強しなくてよい」という意味には、もちろんならない。ましてや「EBMなんて勉強したくない」の言い訳にはなろうはずもない。 聴診器の問題点や限界は、聴診器を使いに使いつづけて初めて語ることが出来る。聴診器を普段触ったこともない人間が、「聴診器なんてよ、、、」と文句を言っても全然説得力がない。EBMの問題点を指摘できるのは、EBMを十全に勉強した人だけである。このことは案外気付かれていない。 で、本書(編集部注※『内科診療 ストロング・エビデンス』)である。本書はEBMそのものの解説書ではなく、コモンな疾患、コモンな病態にどのようにアプローチするか、EBMの手法を用いて解説している本だ。 ただ、その舌鋒は鋭い。「そんなのエビデンスないよ」とか「この薬は効くというエビデンスがある」みたいにしゃべっていると、震え上がりますよ。本書を読むと。 p8 ...