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英国の医療制度の問題点

オピニオン 2014年1月6日 (月)  森宏一郎(滋賀大学国際センター准教授)

気温が一段と低下し、風邪やインフルエンザの季節となった。こういう季節になると、思い出すことがある。それは、英国での生活である。筆者は英国で4年間ほど生活していたことがある。英国と日本の間には数多くの生活面の違いがあるが、寒い季節になると実感する違いは医療サービスの違いである。 ■無料の医療サービスの緊張感 英国の医療サービス(英国 National Health Service)は、一部の例外があるものの原則的に無料で提供される国民医療サービスとなっている。「医療ニーズに対応した公平なアクセス」を理念としているため、無料提供となっているのである。 この点は一生活者として、英国滞在中、非常に助かったという実感がある。しかし、感覚としてはそうなのだが、不安感と事前対策への過度な緊張があったのも事実である。 それは、病院での手術などの治療を必要とするような病気にはなれないという緊張感である。というのは、当時、英国では手術待ちの待機患者であふれていたからである。 また、制度としても、そのような緊張感がある。具合が悪くなった場合、最初に、登録しているGP(General Practitioner...