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「東京地検公判部東京高裁出張所」◆Vol.13

スペシャル企画 2015年2月2日 (月)  司会・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

※大野病院事件スペシャル対談のバックナンバーはこちら ――公判は計14回開かれました。無罪判決が出ると思っていても、最後の最後まで不安だったのでしょうか。 安福 私の弁護士としての経験がそう言わせていた。誰にでも言っていることですが、裁判所に対する根強い不信感がある。 私は昔、最高裁までいった、ある刑事事件を担当した。一審では無罪判決が出たのだけれども、控訴審で逆転し、実刑判決。それで上告した。一審の無罪判決直後に、親しいある検察官から夜に電話がかかってきて、「事件の記録は、俺もよく見た。確かに証拠から言って無罪だ」と言われた。けれども、その次のセリフがすごかった。「でも、これは筋から言って有罪。高裁でひっくり返してやる」と言われた。「なんですか」と。「証拠は無罪って、言ったじゃないですか。筋って、何ですか」と僕は怒ってしまった。でも実際、本当にひっくり返された。 東京高裁の裁判長は、有名な裁判官だったので、「この人は、バカな判決を書くわけない」と思っていたのに、見事に逆転実刑になった。その時に、ある書記官の人が、「こんなことあるんですかね」と言ったのです。担当部の書記官でさえ、その判...