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自由度高い杏林大、多数の業績残す◆Vol.15

スペシャル企画 2015年9月15日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

――手術の低侵襲化については、内視鏡下手術の導入を検討するほか、開腹での手術手技についても研究を重ねていた。 手術手技を改良しては、動画を16mmフィルムで撮影して、学会などで発表していました。 新しい手術手技を考案して、本にもまとめました。その一つが、食道と胃噴門部の癌の手術。左開胸か右開胸を行い、腹部を開けて手術をするのが一般的でした。これは侵襲が非常に大きく、成績も良くない。何とか侵襲を小さくしたいと考え、ある病院でその方法にチャレンジしており、見学に行ったところ、我々にもできそうだと思った。 胸骨をT字型に切って、第三肋間を開くと、食道と胃がすぐ下に見える。胸を開ける必要はないのです。すぐ下に肋膜も見えます。リンパ節を取り、胃を全摘して食道と小腸をつなぐ。術後の肺機能や肝機能などが、開胸の場合よりも優れるというデータが出た。さらに改良を重ね、縦郭のところに内視鏡を入れて、リンパ腺を見る方法なども考案した。タイで開催された国際学会で発表したら、ドイツ外科学会の会長だったジーベルト先生が、フロアから「見るたびに、いろいろなことをやっているな」とのコメントをいただいたこともあります。...