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臓器移植、「数より質で勝負」◆Vol.18

スペシャル企画 2015年9月18日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

――肝臓移植を実施し、先進医療として申請するには、2症例の経験が必要だった。 慶應の移植で優れたところは、ピッツバーグ大学で移植コーディネーターの勉強をし、博士号を取得した添田看護師がいたこと。その看護師さんが非常に活躍してくれ、移植もスムースに行ったのです。 ただ苦労したのが、資金面。1症例当たり、1000万円以上かかると予想された。当時、慶應義塾大学の常任理事を務めていた先生にお願いして、2症例の移植ができる程度の予算を確保してもらい、患者さんの負担は100万円に抑えた。ただ当時、「なぜ外科だけに、大学がお金出すのか」と他の教授から批判はありました。 1例目に相当費用がかかり、2例目の実施が予算的に厳しくなったのですが、その時、幸い私に個人的寄付が入った。それから医学部長にも話して、寄付をいただいた。それで2例目ができ、高度先進医療として申請ができたのです。 高度先進医療として認められるまでの間に実施した3例目の際には、慶應の先輩に当たり、当時中外製薬の会長を務めていた上野(公夫)さんに相談しました。いろいろな卒業生に電話し、確か1500万円くらい集めてくださった。同窓のつながりは...