厚労省に有利な「医師過剰」推計に異議
オピニオン
2016年5月27日 (金)
上昌広(NPO法人医療ガバナンス研究所理事長)
3月末、厚労省は「医師の需要推計について」というレポートを発表した。そして、「医師需給は、中位推計においては、2024年(平成36年)頃に、上位推計おいては、2033年(平成45年頃)に均衡すると推計される」と結論した(資料は、厚労省のホームページ)。 この報告に基づき、厚労省の有識者会議は、2020年以降は医師の偏在解消策の効果などを考慮しながら、削減も含めて検討する方針を盛り込んだ中間報告をまとめた。 私どもは、医師不足について研究を続けてきた。2012年には、情報工学の専門家である井元清哉・東大医科研教授らと将来の医師不足をシミュレーションし、その結果を『プロス・ワン』誌に発表した。 実は、今回の厚労省の推計と、私どもの推計の結果は全く違う。我々の推定では、2035年に2010年レベルの医師不足の状態に維持したければ、医学部定員を2010年の定員の53%増やさねばならなかった。特に後期高齢者の医療需要の増加は著しかった。図1は、医師の労働時間100時間当たりの後期高齢者の死亡数を示したものだ。全ての県で医師不足は悪化し、特に首都圏、中部地方、関西圏が深刻であることが分かる。 図1...
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