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「医療過誤への制裁要求、なくならず」、佐伯東大教授

レポート 2017年11月26日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

東京保険医協会は11月23日、「医療行為と刑事責任に関するシンポジウム」を都内で開催し、二人の刑法学の第一人者が登壇した。 東京大学大学院法学政治学研究科教授で、日本刑法学会理事長の佐伯仁志氏は、「医療過誤に対する制裁の要求はなくならない」と指摘、「何らかの制裁が避けがたいとなった場合、刑罰以外の制裁を活用することで、刑罰の使用を限定すべきと考えている」と持論を展開した。その参考例として、米国では医療過誤の刑罰は日本よりも限定的だが、行政処分は活発であると紹介した。さらに仮に警察への異状死体の届け出を定めた医師法21条が改正されても、患者側が告訴するなど他のルートで医療事故が刑事事件化することはあり得るため、「被害者が刑罰を望んでいないのに、医療関係者が起訴されることはまずない」と述べ、被害者との信頼関係を維持して、誠実な原因解明と説明の重要性を強調した。 同学会常務理事・理事長代行で、中央大学大学院法務研究科教授の井田良氏は、「過失を処罰するのは、将来の犯罪防止」にあるものの、最近は応報的処罰として、刑事責任を問う傾向が見られるとの現状を紹介した。医療界には、医療事故等を処罰の対象外...