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「救えるのに救えなかった命」をなくしたい

オピニオン 2019年12月21日 (土)  坂田大三(ピースウィンズ・ジャパン医師)

2019年も国内外で数多くの災害が発生し、多くの尊い命が失われました。国内では、特に台風や豪雨の被害が相次ぎ、各地に深刻な被害をもたらしました。近年は世界的に気候変動の影響があり、台風や豪雨による被害が毎年のように発生しています。 被災地では、地震による建物の倒壊や大雨による浸水などで亡くなる方が大勢いるのはもちろんですが、その地域の医療機関が機能不全に陥ったり地域外からの支援が適切に行き届かなかったりして、「救えるはずなのに救えなかった命」も少なくありません。 首都直下地震の際には最大で約2万3000人の死者が出るという内閣府の推計がありますが、先日のNHKの番組で、それとは別に医療スタッフの不足などによって適切な処置を受けられずに亡くなる方が7000人以上に上るという試算が伝えられ、その場合にはさらに悲惨な事態に陥ることが懸念されています。 東京の医療機関に殺到する負傷者や、もともと入院している患者を、被災していない施設に移送するには、自治体が所有するドクターヘリや自衛隊だけではなく、民間の協力が欠かせません。 「救えなかった命」を救うためには何が必要か――。 大規模災害時には、被...